Sounds of Silence Simon&Garfunkel

ポピュラー

サイモン&ガーファンクルの最初のヒットであると共に、彼らの代表曲の一つでもある。

おそらく一定の年齢を過ぎた日本人にとってはこちらの方が耳に残るんじゃないかという気がする。実際には由紀さおりが歌ってレコード大賞を取った「夜明けのスキャット」のことだ。

「夜明けのスキャット」が盗作なのはほぼ疑う余地のない話だと思うが、所詮遠くの島国のレコード大賞受賞曲というか、関係者は訴える以前に気づいてもいない?いや、そんな熱意がないのかもしれない。どっちにしても原曲の価値が下がる訳ではないし、同じメロディで編曲も一緒だとしても、この曲のメッセージ性への影響は殆どないと思うので、なんとなく連想してしまうけどまあいっか、位で良いのではないかと。

元々この曲は彼らのデビュー・アルバム「水曜の朝午前3時」に入っていたアコースティックな曲だった。

このデビュー・アルバムは殆ど売れなかったらしい。失意のポールサイモンはイギリスに渡り、ソロ・アルバム「ポール・サイモン ソングブック」を制作。

再びこの曲を独りで歌っているのだが、ここでは少々怒りに満ちた歌い方になっている(気がする)是非確認してみてほしい。

さて、そうこうしているうちにデビューアルバムに入っていたこの曲がラジオでちょっと人気を呼んだとか。これをプロデューサーのトム・ウイルソンが(ポール・サイモンに断りもなく勝手に)バンドの伴奏をオーバーダビングしてフォークロック調(というか後のサイケデリック・ロックを連想させるようなエレクトリックサウンド)にして発売してしまう。
で、これが大ヒットしてしまう。ラジオでかかっているのを、ポール・サイモンはイギリスで聴き、びっくりしてアメリカに帰り、急遽ガーファンクルとコンビを再結成し、フォークロック的アルバム制作に入り、その後コンビ解散までの数年間あくせく働くことになった(らしい)。
経緯の善し悪しはともかく、このレコードもヘンテコな奇跡から生まれているといった感じだ。

先ずこのドラムを確認してほしい。

次にこちら。

同じスタジオで、同じ人がドラムを叩いているのがなんとなく判ると思う。当時所属のコロムビアレコードにはボブ・ディランも所属していて、プロデューサーのトム・ウイルソンはボブ・ディランの「ライク・ア・ローリングストーン」を収録中、合間にスタジオミュージシャンに声かけて「サウンドオブサイレンス」原曲に合わせてエレクトリックバージョンを録音してしまった。そして作者であるポールに断りもなくシングル盤として発売してしまったという事のようだ。所々ドラムがたどたどしいのは、原曲が感情にまかせて一定のリズムをキープせず自由にギターを弾いているのにも関わらず、むりやりミッドテンポのロックとして、仕立て上げているからだろう。まあ無理矢理なんだけど、それは案外、粗野というか、ロックっぽい演出となってまんざら悪くない結果と相成ったようだ。(ポールサイモンはオーバーダビングに関して好意的ではなかったようだが・・・まあそりゃそうだろうと思う)

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映画「卒業」で、再度使われたりする。これも映画制作側が「サウンドオブサイレンス」や「スカボローフェア」のような曲をポール・サイモンに書いて欲しいと依頼し、ポールは曲を用意したが制作側が気に入らず、結局そのまんま既に発表されている曲を使う事になった、というオチ。

曲自体はサンプルを聴いてもらえるともう雰囲気は判るかもしれないが、「沈黙、若しくは静寂の音」というような意味合いのタイトルからして既に暗い。内容的にもかなりカウンターカルチャー的であり、彼らのレパートリーの中では攻撃的な内容の部類に入るんじゃないかと思う。とはいえ、サイモン&ガーファンクルには他の多くのアーチストが持っている「粗野な雰囲気」に乏しいというか、実に優しいというか。良く言えば完成度が高い音楽、悪く言えば親近感に乏しい音楽、ということになるのかもしれない。

自分は中1、もしくは中2の頃だったか、サイモン&ガーファンクルの(レコード会社企画物)ベスト・アルバムを購入し、擦り切れるまで聞きまたオリジナル・アルバムも全部揃える程の熱の入れようで聴きまくっていた時期があった。
もちろん、今でもその素晴らしさが褪せた訳ではない。しかし、類まれなる知的センスの高い歌詞やギターテクニック、歌唱法においても素晴らしすぎるが故の隙のなさというか、完成度の高さ故に、歌の内容に共感するものの、そこで自己投入し、それを具現化する作業(時代的に自分がその後関わりを強く持つことになるパンク・ロックなどのジャンルが担うことになる作業)とは関連性を持つことにはならない。このあたりはボブ・ディランと大きく異なる点だ。

誤解を怖れずに書けば、ポールサイモンはパンキーな音楽はあまり好きではないんだと思う。
↓↓この曲はパンキーのジレンマというが・・・

ポール・サイモン自身、サイケデリックは嫌いだ、などと言っていたと思う。そのような中でS&G史上サイケに最も近い編曲で一番最初にうっかりヒットしてしまったこの曲に対して、彼はどのような想いを持っていたのだろうか。

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Sounds of Silence

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